人皮工芸品に宿る不気味な霊力

人皮娃娃

中国ではかつての日本で人皮娃娃が製造されていたと言われている。そしてその一部が中国にも輸入されているというのだ。

娃娃は人形という意味である。だから人皮娃娃は人間の皮膚で作られた人形を意味する。

中国で語られている人皮娃娃とはどのような存在なのか。まずその話から紹介しよう。

人皮娃娃は江戸時代の日本で製造されていた。江戸期以前に布で作られていた布人形が江戸時代になってから人間の皮を用いて作られるようになったのだ。

人形の素材として使われるのは特に嬰児の皮膚である。生まれたばかりの子供の皮膚は弾力があり加工が容易であるだけではなく美しい。しかしそれだけが嬰児の皮膚を用いる理由ではない。

日本人は人形に魂が宿ると考えている。生まれたばかりの子供の魂は純粋である。この魂を人形に込めるために嬰児の皮膚が使われるのだ。

人皮娃娃は子供のおもちゃではなく芸術作品である。

日本でも一部のコレクターだけが保存している非常に珍しい人形であり、価格も非常に高価である。一般庶民はその存在すら知らない。現在では作成が禁止されているので幻の工芸品として珍重されている。

人皮娃娃には霊力があるので取り扱いを誤ると危険である。特に小さい子供がいる家庭に人皮娃娃を飾ると、人皮娃娃に込められた子供の魂がその家の子供の魂と入れ替わることがある。

骨董店でそれと知らずに人皮娃娃を購入し、その直後に子供の人格が一変したケースが実際にあるそうだ。

伝説の背景

日本では江戸時代に人間の皮膚で人形が作られていたという話はほとんど知られていない。

中国に人皮娃娃が実在するかどうかは保留するとして、それが日本から伝わったと言われている部分は誤解であろう。

なぜ中国にこのような誤解が生まれたのか?

事情通のあいだでは日本の球体関節人形と深い関係があると言われている。

球体関節人形といえばかつて澁澤龍彦が絶賛した人形作家・四谷シモンの名が浮かぶ。四谷シモンの球体関節人形は確かに子供のおもちゃなどではない。生々しいエロスを感じさせる不気味とも言える人形だ。

この雰囲気は四谷シモンの感性による部分もあるが、球体関節人形そのものに具わる独特な造形から立ち昇る妖気も少なからず寄与している。球状の異形の関節は女性的であり、男性の球体関節人形には中性的な雰囲気が漂う。

この妖気に魅せられた多くの球体関節人形作家が現在の日本でも活躍している。そして彼らの作品の多くが画像情報として中国にも伝わっているのだ。

ここではあえて作家の名前は挙げないが、球体関節人形で検索すればさまざまな画像と出会うことができる。一度ご覧いただけば球体関節人形の妖気に満ちた世界に引き込まれることは間違いない。

四谷シモンの作品は顔立ちが西洋的である。中国人が四谷シモン作品を見ても、日本の伝統文化だとは思わないであろう。しかし最近の和製球体関節人形の中には日本的な雰囲気の作品が少なくない。

海外の文化に関心をもつ中国人が、最近増えてきた日本的な球体関節人形の画像を見て、これはただの人形ではないと感じたのであろう。

一部の球体関節人形には確かに人間の皮膚が使われているという噂にふさわしい妖気が漂っているのだ。

チベットの人皮タンカ

もうひとつ人皮娃娃の存在にリアリティーを与える事情がある。もともと中国では人間の皮膚で作られる工芸品の存在が知られているのだ。

そうした工芸品のなかで最も有名なのは人皮鼓である。文字通り人の皮で作った太鼓だ。

そして人皮鼓と並び称されるのがチベットの人皮タンカである。人皮鼓については別の記事があるのでそちらをご覧いただきたい。

ここではチベットの人皮タンカを紹介しよう。

そもそもタンカとは曼荼羅や仏教的な題材を描いたチベットの宗教画である。キリスト教にとってのフレスコ画と同じように、中国では仏教美術の重要な要素のひとつであると考えられている。

タンカ現在の中国でも仏教徒や観光客のために盛んに描かれている。しかし人皮タンカは単なる宗教画ではない。作成の過程を想像するだけでも身の毛がよだつ存在だ。

人皮タンカは生きている人間の皮膚に刺青を施し、死後にその皮を剥いで作られたものなのである。

厳しい身分制が残っていた時代のチベットで奴隷の皮膚を使って作られたという解説があるが、これは正確ではない。

なぜならかつてのチベット社会で高貴な存在とみなされてきた高僧の皮膚から作られた人皮タンカが残されているからだ。

だからと言って人皮タンカを即身成仏に類するものと考えるのは誤りである。人皮タンカは僧侶の皮膚だけではなく一般人の皮膚からも女性の皮膚からも作られていたからだ。

つまり生前の身分や宗教的な地位に関わらず人皮タンカが作られていたのだ。人皮タンカの製造は生きているうちの刺青から始まると言ってよい。刺青を入れることを決断した本人の意思が人皮タンカには宿っているのだ。

このようなタンカにはありきたりな護符などの及びもつかないほどの霊力があると言われている。

Posted by 編集長 妙佛大爺

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