中国の男性同性愛概観

現代中国の男風

かつて中国社会において一世を風靡した男風は現代中国ではどのような状況に置かれているのであろうか。

現在の中国でも男風は皆無ではないが、かつての記録に示された「遊女とおなじくらい男娼がいる」などという状況とは程遠い。

一般的な中国男性の感覚としては、男風は異常であり、極端な場合には怖い存在であると受け止められているようである。

例えばインターネットの質問サイトで次のような質問を見たことがある。

私の友人(男性)が警察に逮捕されたのですが、刑務所に入ると男が男にレイプされるというのは本当ですか?

この質問に対する答えは「本当です」であった。

この回答の真偽はともかく、中国人男性は男にレイプされることを恐れているのは間違いない。

だからと言って男同を蔑視しているわけでもなさそうである。

他人の嗜好については寛容であり、男同が存在すること自体は当然と心得ているようだ。

ただし現在の中国で男同はそう目立つ存在ではない。

男同が集まる店やパーティーにでも行かない限り、それらしきカップルを見かけることは少ない。

それゆえ中国人にとっても男同の実態は謎につつまれている。

インターネット上に男同の実態を赤裸々に報告する記事が少なくないのは、それだけ謎が多く、しかも多くの人が関心を寄せていることを意味していると思われる。

私自身が実際に目にしたことがある男同は、白人と中国人のカップルである。これは何度も目撃したことがある。

例外なく白人が「攻」で中国人が「受」であった。年配の体格のよい白人が若いスレンダーな中国人少年を連れているのだ。

外国人が集まるようなパーティーには、このようなカップルが現れ人目を引くことも少なくない。

しかし一般的には彼らの実態はあまり世間に知られていないようだ。

同志吧暗訪

普通に生活していると中国における男同の実態は全くわからない。男同が存在することすら認識できないだろう。

しかしインターネット上の記事を見れば、さまざまな報道があり、遠く離れた地域の男同事情ですら垣間見ることができる。

そうした記事の中には「暗訪」に基づくものも少なくない。

暗訪とは正体を隠して行う潜入取材を意味する。記者が実際に現地に赴き取材するので臨場感がありディテールも細かい。

そうした暗房の一例として四川省成都の記事の要旨を紹介しよう。

記者は友人からの情報をもとに、市の中心部にある「同性愛バー」に単身潜入した。

友人の情報によるとこのバーは開業してから何年も経つらしい。

男性同性愛者が集まる特別な場所なのだそうだ。このようなバーを「同志吧」という。

同志吧に行くときは女性を連れてゆかないほうがよい。女性同伴の場合は「異類」とみなされてしまうのだ。

だからこそ記者は単身で、しかも若干女性的な白いバッグを持って入店したのだ。

その同志吧は某ビルの4階にある。

門の左側には去年のエイズ予防の宣伝ポスターが貼られていて、そのポスターには「親愛なる皆様、健康に気をつけましょう」などと書かれている。

門の右側には「みんなで同性愛者の生活を大切にしよう」と書かれたポスターが貼られている。このバーはあからさまに同志吧であることを宣伝しているのだ。

記者がポスターを見ていると白い服に身を包んだ長髪のハイヒールを履いた美女が香水の香りをたなびかせながら近づいてきた。

同志吧になぜ女性が?

と思っていると、その美女は男性用トイレに向かったではないか。

その光景を見なければ、あの美女が実は男性だとは絶対に見抜けないはずだ。

同志吧に入り目立たないところに座った。すると20歳くらいの化粧の濃い男性が注文をとりに来た。

コーラ1缶15元。高くはない。

記者はその男性に訊ねた。

「どうしてそんなに濃い化粧をしているの?」

すると夜のショーがあるからだと言う。それにこのくらいの化粧は濃いとはいえないのだそうだ。

その男性が離れてから四方を見回した。

比較的大きなホールに30人くらいの客がいる。年齢は20歳から30歳のあいだだ。全て男性。ふたりづつ座って話をしている。

ホールの壁には「親愛なる男性同性愛者のみなさま」「男性同性愛者に健康な生活を」と書かれたポスターが貼られている。

このバーのオーナーは健康志向のようだ。

店の中でひとりで座っているのは記者ひとりだけのようだ。そのせいか、無数の視線を感じる。

記者の目の前のテーブルにはペアルックの20歳前後の美青年が手をとりあって会話をしている。

ただし入店してから帰るまで、手を取り合うのを見たくらいで、それ以上の行為は全く見かけなかった。

入店してから20分ほど経っても誰も記者に話しかけてこない。

9時40分になった。さきほどの店員が記者の横に座って「林です」と自己紹介をした。

「学生さん?」と訊ねるので、ある大学の学生だと嘘を言うと、彼は笑い出して「また同じ大学だ」と言い、何人かの名前を出して「知っている?」と訊ねた。

実はこの世界のことは詳しくないのだと答えると「いま言った人たちはみんな有名人だから覚えておきなよ」と言った。

彼の言うには、この同志吧は開店から既に7、8年経つそうだ。男性同性愛者のあいだでは非常に有名だという。

ここで働き始めてまだ半年だが、たくさんの人たちと親しくなったそうだ。

ここの仕事は楽しいかと訊ねると「本当に自分を愛してくれる人を見つけられればそれで幸せだし、そうなれば普通の人と同じような生活がおくれる」と言った。

彼の目には記者は誠意ある人物にみえるそうだ。9時50分になった。

彼は立ち上がり「ショーが始まるので化粧を直さなければ」と言った。立ち去るとき彼は何気なく記者の首を触った。

10時になるとショーが始まった。ステージ上には男性しかいないのだが、誰もが長髪で女装しているので、距離を置くと、全く男性には見えない。それだけではなく彼らは声までが女性の声なのだ。

ショーが始まったとき、記者は男同のダンスなど見るに耐えないと思っていたが、実際には真面目に練習を重ね、しっかりした演出を施したショーであった。

肉体を晒すようなことは一切ないのである。また多くの男性が女性の声で歌を歌い観客の拍手を奪っていた。

ショーの途中、記者はトイレの付近をパトロールしたが、淫行を目撃することはなかった。

記事を読む限り記者は同志吧が淫行の場となっていることを疑っていたようである。しかし実際には非常に健全な場であり、拍子抜けの感は否めない。

店員の話から、こうしたバーが同性愛者の出会いの場になっていることがわかる。

最近ではインターネットを通じての出会いも多いと思われるが、同じ嗜好をもつ人々が集う場は彼らにとっては非常に貴重な空間なのであろう。

では彼らが集う場は常に「健全」なのであろうか?

実はそうではない。それを示す記事があるので、引き続き紹介しよう。

Posted by YangShiCui

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