美少女の腸を引きずり出した凶悪犯の謎

裁判の経過

Qはその他の事件とともに、第1、第2の事件の犯人として起訴された。

ところが捜査機関にとっては意外な展開が待っていた。

2005年1月6日、裁判の初日に、Qは第1、第2の事件への関与を否定したのだ。

このような展開になると、Qを起訴した側の弱点が明らかになった。

Qが真犯人であるという物的な証拠が存在しないからだ。証拠は目撃証言とQの自白だけであった。

確かに複数の目撃証言はあったものの、いずれも薄暗い夜の目撃証言であり、多くは「Qに似ている」とか「輪郭が似ている」というあいまいなものだった。

また生き残った被害者HもQの犯行だと断定することはできなかった。

公安はHが20枚の写真の中から2枚を選び、その一方がQの写真だったと主張した。しかし弁護士が入手した資料によると、Hは5枚の写真を選んだというのだ。

5人の写真を選ぶこと自体が、記憶があいまいであるどころか、ほとんど犯人の容貌を認識していなかったことを示している。

しかし人民法院はQに死刑判決を下した。

Qは直ちに上訴した。上級審では「証拠不足」を理由に差し戻しの判断が下された。

やり直し裁判は非公開にされた。被害者の直系の親族以外の傍聴は禁止された。

Qは自白は強要されたものであり、自分は第1、第2の事件とかかわりがないという主張を繰り返した。

しかし人民法院はQの犯行であると判断し、2005年12月に2回目の死刑判決が下した。

Qは直ちに上訴した。上訴審では量刑部分だけが変更された。

この結果、緩期2年執行の宣言が付された死刑判決が確定した。緩期2年執行については詳しい記事があるので、そちらをご覧いただきたい。

ポイントは緩期2年執行の宣言が付された死刑判決では、事実上、死刑は執行されないという点である。

濃厚な冤罪疑惑

女性を殺害して腸を引きずり出すという犯罪は、中国の「相場」からすれば死刑である。しかし事実上執行を免れる緩期2年執行が宣言されたのはなぜか?

これは冤罪承知の死刑判決である可能性が高い。

遺体を解剖した医師は、犯人にはある程度の解剖学的な知識があったのではないかと言っている。

なぜなら性器から腹腔内に手を挿入して腸を引きずり出すことは、通常人には難しいからだ。犯人は筋肉の壁の弱い部分を的確に突き破っていた。無駄な傷は残っていなかったそうだ。

しかも非常に短い時間で小腸の大部分を引きずり出している。

Qには動物の解体や人体解剖の経験はない。そのような人間の犯行とは考え難い。

また被害者はふたりとも未成年の女性である。つまり弱い対象を狙った犯行だ。犯人は臆病な性格であると考えられる。これもQのような粗暴な犯人像には結びつかない特徴だ。

しかも捜査機関が発表した犯行動機は不合理である。

特に第2の事件は「人違い」で殺害したにも関わらず、腸を引きずり出していることになる。

腸を引きずり出した動機が怨恨なら、人違いの女性の腸を引きずり出すのは不自然だ。

多くの中国人は次のように考えている。

この事件には中国全土からの注目が集まり、中央政府からも早期解決のプレッシャーがかかっていた。

現地の公安としては「犯人が誰かわかりませんでした」では済まされない状況になっていたのだ。

そこで、とにかくそれらしい人物を検挙し自白を迫ったところ、犯行を認めたので、それで事件が解決したとして処理したのだ。

しかし無理に自白させた犯行の経過や動機には、誰の目から見ても不合理な点が多い。

地元の人民法院も冤罪を承知のうえで死刑判決を下したのだ。とにかく誰かが犯人として処罰されなければ収まらないからだ。

しかしかつて冤罪事件で死刑判決を下した裁判官が処分された前例がある。上級審に関与した裁判官たちは、冤罪の可能性が高い死刑を執行すれば、自分たちの将来が危ういことを理解しているのだ(中国では死刑執行は人民法院の職務)。

そこで緩期2年執行を宣言して、死刑執行を回避したのだろう。

つまり女性たちの腸を引きずり出した真犯人は、今でも甘粛省のどこかで、のうのうと暮らしているのだ。

もし犯行の動機が性的な衝動であるとすれば、将来、同じ犯罪が繰り返される可能性が高い。

関連動画

30分弱の長い話なので、寝ながら聞くことをお勧めします。

Posted by Liu XiangHai

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