事実との不整合
警察発表の直後から警察発表に対しては多くの疑問点が指摘されている。
まず第一に、死体の手足が固く縛られていたにも関わらず、事故死と結論付けた判断はいかにも不可解である。
仮に自分自身で体を縛ることができたとしても、梁から吊り下げることなどできるはずがないからだ。
また足にぶら下げられていたおもり、額に残された刺し傷も何のためのものか説明がつかない。
しかも近隣住民の証言によれば、死亡した少年には女装癖の片鱗もなかったというのだ。
現地の警察が迷宮入り確実な難事件を事故死として処理してしまったのではないか?
少年の両親を含めて、この事件は他殺であると考える人は少なくない。
事件の真相
事故死でないとすれば誰かが少年を殺害したことになる。
では誰が何のために殺害したのか?
多くの中国人は何らかの呪術的な儀式が行われたと考えている。しかしその儀式の目的については意見が一致していない。
有力なのは、何者かがKの一家に恨みを抱き、K一家を呪う呪術を行ったという説だ。
死体に残された数々の痕跡から判断すると、一家の跡継ぎを根絶やしにし、しかも殺された少年の魂が永遠に甦らぬようにする呪術的な意図が読み取れるというのだ。
このような呪術を傷魂術という。
その根拠としていくつもの事実が指摘されている。まずひとつ目は被害者が死亡したときの年齢である。
事件が発生したのは少年が13歳と13日の日であった。
ある呪術の流派の考え方によると、13が並ぶこの日は少年にとって陰の日とされている。
生死・吉凶を陰陽で評価すれば、生は陽、死は陰、吉は陽、凶は陰である。
また女性は陰であり、水着が象徴する水も陰の性質をもつ。不気味なほどに陰が並ぶのだ。
次に額の傷である。
現地には昔から死体の脂で煮た針を額に刺すことで魂魄(こんぱく)を分離し、命を奪う呪術があると言われている。これを分魂術という。
つまり少年の額の傷は、犯人が呪気のこもった針を刺した跡だというのだ。
赤い服、水着、おもりには、さらに次のような意味があるという。
赤い服は火
水着は水
死体を吊った梁は木
金属のおもりは金
死体が発見された部屋の土間は土
これらは中国呪術の根本思想である五行説の「火水木金土」を表している。
つまり犯人は殺害現場に五行の要素を揃えるために水着や赤い服やおもりを揃えたというのだ。
呪術的儀式の現場にこれらの要素を揃えることで、呪術の効果を高めることができると言われている。
以上はこの事件を呪術的に解釈するひとつの例にすぎない。
この他にも霊を操るための養鬼術が行われたという説や、寿命を延ばすための続命術が行われたという説などがある。
奇怪な夢
この事件が呪術と関連していることを示すもうひとつの事実がある。
少年の父親が自宅に戻った日の前日のことだ。父親と一緒に出稼ぎに出ていた少年の母親が悪夢にうなされたのだ。
それは奇妙な夢だった。
まず最初に見知らぬ背の高い男が双星村の自宅に侵入するシーンが見えた。そしてその男が「一刻も早く家に戻って息子を探せ」と告げたのである。
この夢の話を聞いたからこそ、Kはわざわざ休暇をとって自宅に戻ったのだ。
Kは「もしも妻が夢を見ていなかったら、息子が発見されたときには腐乱死体になっていただろう」と言っている。
呪術という霊的な業を使うことによって母親の無意識が感応し、夢となって事件発生を知らせたのだ。
事故や自殺の場合には、このような現象は起こりづらいと言われている。
付記
この事件を変態性欲者による性的虐待事件ではないかと考える人もいるだろう。
しかし少年の遺体からは性的虐待の形跡は発見されていない。だからこそこの事件には呪術的な動機しか考えられないのだ。
この事件は事故として処理され、公的にはすでに過去の事件となってしまった。もはや真相が明らかにされることは永遠にない。
それだけに重慶紅衣男孩事件は謎に満ちた猟奇事件として今後も語り継がれることになるだろう。
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Posted by 編集長
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