胎児から作られる呪物「人胎鬼」の恐るべき呪力

怨気最大の鬼

中国には己の欲望を満たすために鬼を飼う養鬼という呪術がある。

養鬼にはいくつもの種類があるが、最も強力なのは人胎鬼仔(じんたいきし)であると言われている。

人胎鬼仔は鬼王、小鬼王、路過(ルーグォ)、碌葛観(ルーググァン)とも呼ばれる。路過、碌葛観はタイ語のLokgotに由来する呼び方である。

人胎鬼仔はタイで作られる呪物なのだ。

人胎鬼仔の由来

人胎鬼仔は800年ほど前にタイで作られるようになったと言われている。

作り方を開発したのは中国語で坤平[kūn píng]と呼ばれる将軍である。

坤平は自分が作り出した人胎鬼仔を古曼童と呼んで祀り、戦に行くときには必ず携帯していたそうだ。

坤平は連戦連勝の常勝将軍であった。坤平の驚異的な勝利は人胎鬼仔の霊力によるものだと信じられている。だからこそ多くの人が坤平の呪法を学び、今日に伝えたのである。

人胎鬼仔の作り方

人胎鬼仔の作り方にはふたつの方法がある。ひとつめの方法は次のとおりである。

まず生後間もなく死亡した嬰児の死体か、出産の直前に死亡した胎児の死体を入手する。妊娠6月以上であり母子ともに死亡した場合には、その胎児を利用することもできる。

いずれの場合も死後7日以内の死体でなければならない。

死体に呪符を貼り魂を肉体に封じ込める。そして遠火で炙ることにより死体を乾燥させるのだ。

49日かけてゆっくり乾燥させると死体は手のひらに乗るほど小さくなる。本来ならこの状態になった人胎鬼仔を作り出した本人が飼うのであるが、現在では中国人が買い求めて自分自身の呪術に利用しているのだ。

霊童

人胎鬼仔の作り方はもうひとつある。

交通事故や難産で死亡した嬰児の中にはいつまでも腐らない例があるという。これを霊童、嬰屍、童屍などと呼ぶ。死亡した嬰児の怨念が強いときにこのような現象が起きるという。

霊童は付近の人の夢の中に現れることがある。また超常現象を引き起こすこともあるそうだ。あまりにも不気味な存在であるから、霊童は通常は寺に引き取られることになる。

霊童を引き取った寺では108日のあいだ経文を唱えて怨念を鎮める。このあいだに霊童は乾燥して小さくなり、手のひらに乗るほどの大きさになるという。

このようにしてできた嬰児のミイラも人胎鬼仔である。最初の作り方に比べると寺で作られる人胎鬼仔のほうが強い霊力を持つ。

しかし霊童自体が珍しいので寺で作られる人胎鬼仔は非常に数が少ない。このような人胎鬼仔は買おうと思っても手に入れることは困難だと言われている。

人胎鬼仔の霊力

人胎鬼仔はありとあらゆる目的のために取引されてる。人胎鬼仔にできないことはないと言われているからだ。

現在の中国では恋愛運、仕事運、金運を上昇させるために人胎鬼仔を入手する人が多い。魔除けのために購入する人もいるそうだが、それはどちらかといえば少数派であろう。

購入した人胎鬼仔を自宅で祀ることにより現世での利益を得るのが大多数の目的なのだ。

特に運の要素が大きい芸能の世界では呪力や霊力に頼ろうとする人が多く、香港の芸能人が購入していると言われていた。しかし最近では中国大陸の芸能人の中にも人胎鬼仔を購入する動きがあるようだ。

もうひとつ人胎鬼仔を購入することで有名なのはギャンブラーである。

中国に限らず東南アジアのギャンブラーの中には人胎鬼仔を所有する人が多いと言われている。実際に人胎鬼仔を所有することによって賭博運は向上するらしい。

しかし良いことばかりではない。いったん人胎鬼仔を入手したらしかるべく祀らなければならないのだ。礼拝を怠ると逆に不幸を呼び寄せることになる。

多くの呪物は寺などに持ち込んで処分を依頼すれば縁を切ることができるとされているが、人胎鬼仔は子供の怨念から作られているため、持ち主から縁を切られることに対して強い恨みを持つそうだ。

たとえ寺に預けたとしても必ず報復されるという。

成功者

香港の経済界には寺の中で作られる人胎鬼仔を入手した結果大成功を収めた人物がいると言われている。

彼は若いときには不良グループの一員であった。あるとき暴力事件を起こして告発されタイに逃亡したという。

タイで放浪を始めたがわずかな所持金はすぐになくなり、ある寺院に上がり込んで助けを求めた。その寺院の僧は彼の話を聞くと「お前とは前世の縁がある」と言った。

彼の実家は佛牌(日本のお守りのようなもの)を扱う小さな商売をしていた。あるいはこのことを話したのが僧の心を動かしたのかもしれない。

僧は寺院の奥から金色の箱を持って来た。中には小さなミイラが入っていた。僧は5年前から寺に祀っている人胎鬼仔だと言った。

僧は彼に「3年のあいだ人胎鬼仔を養いなさい」と言って人胎鬼仔の祀り方と心の中で唱えるべき呪文を伝授したという。僧の説明によれば人胎鬼仔を養えば3年のあいだに莫大な財産を築くことができるとのことだった。

僧は財産を手に入れたら人胎鬼仔を寺に返し、稼いだ財産の一部で寺を改修するよう依頼した。

彼は僧の言葉を信じはしなかったが、世話になった恩もあるので僧の言葉に従って人胎鬼仔を預かった。寺で雑用などをしながら人胎鬼仔を祀っていると、3カ月後に香港の仲間から連絡が入った。暴力事件で彼を告発した被害者が被害届を取り下げたというのだ。

彼は人胎鬼仔を持って香港に戻った。久しぶりに闇カジノへ行くと、思いがけない大勝ちをした。その儲けを元手に小物を販売する商売を始めたところ、面白いように儲かり、チェーン展開に成功した。

その後は映画会社を設立し株式の売買でも利益を出し、僧が言った通りたった3年のあいだに莫大な富を築いたという。

彼は不良少年ではあったが、心のどこかに信仰心を持っていたのだろう。3年後に人胎鬼仔を返し、寺の建物に金箔を貼る改修工事を行ったそうだ。

Posted by 編集長 妙佛大爺

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