隠蔽された人魚存在の証拠

中国古代の人魚・鮫人

中国の古い書物には人魚についての記述がある。ただし古い記録には必ずしも人魚と記されているわけではない。むしろ鮫人と書かれていることが多い。また泉客という表現もある。

『捜神記』には鮫人は魚のように水中に住み、その涙は真珠になると記録されている。中国で真珠が鮫人泪という別名をもつのは、このためである。

司馬遷の『史記』には人魚という文字が現れる。

史記の始皇帝本記には始皇帝が陵墓を建設したとき、人魚の脂で照明を作ったと記録されているのだ。人魚の脂で照明を作るとその灯りは絶えることがないという。

北宋の時代の記録には高麗に向かう使者が海上で人魚に出会った事件が記録されている。その記録によると人魚は赤い衣服を身に着けていたそうだ。

同じく北宋の時代に海で漁をしているときに人魚が捕獲されたとする記録が残っている。色は黒く、毛が生えていたという。話しかけても反応はなかった。

このとき現場での意見は真っ二つに割れた。

人魚は不吉なので殺すべきだという意見と、人魚は神なので殺すと禍が起きるという意見だ。結局逃がすことに決まり人魚を開放すると、人魚は海の上を数十歩歩いてから姿を消した。

次の日はふだんの倍以上の大漁だったという。

人魚の姿

日本人がイメージする人魚は美しい女性の姿であろう。これは西洋画に描かれる人魚の姿に影響を受けているからに他ならない。

中国の文献に記録されている人魚は、西洋画の人魚とはかなり異なる姿をしている。

西洋画に描かれる人魚には手はあるが足はない。しかし中国の記録には人魚には手足があるという記述が多い。そして中国の人魚は鮫人という名からも明らかなように、鮫のような肌をしているという。

ただし宋代の『太平広記』には、人魚の肌は玉のようでウロコもなく、姿は美しい女性であり、頭髪もあると記録されているので、中国の文献は人魚にも種族の違いがある可能性を示唆しているのだ。

人魚の正体

人魚は中国南部の沿海地域で人間との交易をしていたという記録がある。この記録によると人魚は織物を提供し、独自の文字を持っていたというのだ。

この記録を重要視する人は、人魚の正体は先進的な織物の技術を有する異国人であったと解釈する。

しかし別の記録には人魚は頭に穴があり、その穴から空気が出てくると記録されている。この記録だけを見れば、人魚の正体はイルカということになるだろう。

中国では古くから人魚の存在は認識されていた。しかしその正体についてのコンセンサスがなかったため、多くの人が自分が目撃したものこそ人魚だと思い込んで記録したり、自分独自の解釈を加えて記録してきたようだ。

例えば人によって手足があると書いてあることもあれば手足がないと記録している場合もある。

そのせいで人魚の正体は非常にわかりづらくなっている。

現代中国の人魚

人魚は古い記録に登場するだけではない。

1980年には南海の海上で漁民が人魚の死体を発見する事件が発生している。

中国の漁民たちのあいだには、海を漂流する死体は船に引き上げて陸に運び、手厚く葬る習慣がある。これを怠るのは不吉と考えられているからだ。

もちろん人魚の死体も回収され港に運ばれた。その後の展開が奇妙なのである。

漁民たちの前に素性の知れない人物が現れたのだ。地元の人間ではなかったという。

その人物はガソリンと引き換えに人魚の死体を引き渡すよう提案した。いや、提案というのは不適切かもしれない。漁師たちの証言によれば人魚の死体はガソリンと引き換えにほぼ強制的に持ち去られたのである。

1980年の中国と言えば、まだ今日の経済発展など想像もできない時期である。ガソリンの価値は我々が想像する以上のものがあったはずだ。

没収に近い形で死体を持ち去られたのであるが、漁民たちに不満はなかったのである。

では人魚の死体を持ち去ったのは何者なのか?

これには政府の関与が囁かれている。

人魚の死体を回収したという情報は無線によって仲間に伝えられていた。この情報をいち早く入手し、漁船が接岸する直後に現場に現れる情報収集能力と行動力。そして代償としてのガソリンを短時間で準備する手際の良さ。

どう考えても民間人に可能な芸当ではない。

地元の政府、あるいはさらに上部の組織が関与したことは間違いないのだ。問題は政府の目的である。

中国には人魚に限らず人間型の未確認生物が生息していると言われている。そうした生物は人類との意思疎通ができる可能性があると言われている。

中国政府はこうした未確認生物を本格的に研究しているらしいのだ。そのための特務機関も存在し、莫大な予算が注ぎ込まれているという情報もある。なぜそのようなことに国家予算を費やしているのか?

言うまでもなく軍事利用のためである。

仮に水中を自由に移動できる生物を人類の命令に従うようにコントロールできるとすれば何が起きるだろうか?

レーダーに察知されることなく敵の艦船に接近し、破壊することが可能になるのだ。

人魚の死体を回収した目的は、人魚という生物を研究して軍事利用の可能性を検討するためだった。人民解放軍の内部事情に詳しい人物はそう語っている。