最悪の犯罪:強姦目的の養子縁組

国際手配犯

中国政府は海外に高飛びした犯罪者を国際手配し氏名を公表している。

このような指名手配犯を紅通という。

中国政府が公表している紅通のリストを見ると収賄の犯人が多い。逃亡先としては、アメリカなど北米が人気があるようだ。

つまり政府高官が汚職でカネを集め、海外に高飛びするケースが多いということがわかる。

ここまでは日本でもすでに常識になっている話だ。

異色の紅通

2018年の紅通リストの中に政府高官でもなく、汚職の犯人でもなく、逃亡先が北米でもない男が含まれていた。

この男は「俺の会社はアフリカのNIKEになる」と語っていた寧波のアパレルメーカー創始者である史增超[shǐ zēng chāo]だ。この記事では以後Sと表記することにする。

この男は一体何をしたのか?

アパレル界の成功者として名声を博していたこの人物のもうひとつの顔を紹介しよう。

大学生の愛人

2006年、Sは当時大学生であったHを愛人として囲った。そして貿易の街として知られる寧波のマンションにHを住まわせたのである。

2008年、SはHに幼女の養父母を探しているという人物に連絡をとらせた。

この人物は当時7歳の女子の養父母を探していた。この女子をWと呼ぶことにしよう。

Wの家庭環境は複雑だった。父親は再婚した女性とのあいだにWをもうけたが、母親はその後行方不明になっていた。

その後、父親が死亡したため、Wは腹違いの姉が養っていたという。

Sの愛人Hは、Sの妻に成りすましWを引き取った。このときに正式な養子縁組の手続きはしていなかったそうだ。

つまり相続の権利のないブラックな「養子」として引き取られたのだ。

おぞましい目的

幼女を入手して性奴隷にするのがSの目的だった。

Wは愛人宅で生活を始めたが、引き取られた直後からSの猥褻な行為が始まったという。愛人HはSの行為を補助していたそうだ。

翌年2009年11月29日、Wは愛人宅から逃亡し、派出所に保護を求めた。

しかし詳しい事情は明らかにされていないが、12月9日にはHに連れ戻されている。

その翌日にWはSに強姦された。愛人はWの脚を押さえつけるなどして強姦を補助したという。このときWは7歳であった。

Sの意図は複数の証言によって裏付けられている。

SにはCというHとは別の愛人がいた。S、C、HはHのマンションでしばしば3Pをする関係であった。

Cの証言によるとHのマンションには幼い少女がいたという。

Hは親戚の子だと説明したそうだが「顔が似ていない」というと、Sは将来セックスの相手をさせるために育てていると説明したそうだ。

SにはZという別の愛人もいた。Zも愛人宅で3Pをしていたという。Zの証言によるとWはその様子を見ていたという。

ZはSが意図的に自分たちの行為をWに見せつけて「教育」していると感じたそうだ。

さらにSはZに対して「Wをゆっくり教育して将来は3Pに参加させる」とも語っていた。

Sは成人した愛人を囲っていたが、ロリコンでもあったようだ。

愛人にネット上で家出少女を探させていたという証言もある。愛人Zはもともとは家出少女であったから、この話には信憑性がある。

性奴隷としての生活は7年ほど続いていたようだ。

2014年5月にSはWに他の愛人と同様に独立の部屋を与えた。

当時Wはまだ13歳であった。その後Sは半月に一度のペースでWの部屋に来てWを強姦した。中国の法律では14歳未満の女子との性交は同意があっても強姦になる。

2015年になるとSは広西出身の別の愛人Qを連れてWのマンションに現れ、WとQを同居させた。

その後SはQ、Wと3Pを行うようになる。

2016年には、SはWを連れて別の愛人Mの部屋を訪れ、3Pをしている。

通報

くわしい事情は分からないが、もと家出少女であった愛人Zは、2016年にはSと別れていたようだ。

そのZが寧波のホテルで偶然Wと出会ったそうだ。

このときZは、公安に通報するようにWにアドバイスしたようだ。

そのおよそ1週間後、Wは派出所に7歳のときからSに強姦されていた事実を通報した。

Sは地元では知らない者はいないほどの有名人であるが、幸いなことに事件はもみ消されることなく調査が開始された。

しかしSはその情報をいち早く察知したようだ。

Sは捜査開始直後にWの腹違いの姉に妹を説得して通報を取り下げるように依頼している。

しかし姉がその申し出を断ると、Sはアフリカに高飛びしたのである。

Sの会社はアフリカで大成功していたので、アフリカにはかなりの財産が蓄えられているはずだ。

ただしアフリカの資金はすでに凍結され、さらに中国国内の会社は販路を失い、倒産している。

華僑のネットワークによれば、現在Sはナイジェリアに潜伏しているとのことである。

ナイジェリア

Sは金鉱山の採掘権など巨大な利権をもっているそうだ。地元の有力者とのコネもある。

また、凍結された資産の他にも隠し財産があることは間違いない。

しばらくはアフリカで何不自由ない暮らしを続けることができるだろう。

しかし中国という国家から犯罪者として指弾される立場になった以上、Sの優雅な生活はそれほど長くは続かないはずだ。

処罰

違法な養子縁組の母親役を務め、強姦を手助けした愛人Hは、2016年11月に強姦などの罪で検挙された。

2017年12月4日には有期徒刑16年6月の判決が下されている。

中国の法律によれば、強姦罪には死刑が適用される可能性もある。特に被害者が未成年である場合は重く処罰される可能性が高い。

仮に身柄を拘束され中国に送還されれば、Sに対して死刑が適用される可能性もあり得る。