道家の絶芸「符法」を利用する中国政府

道家の法術

道教の秘儀の中に符法と呼ばれる奥義がある。

符法は文字や図によって霊的存在と交信する術である。

この目的で作られる符には道家霊符、符文、符書、符録、符図、甲馬など多くの呼び方がある。ここでは道家符と呼ぶことにしよう。

道教の奥義を極めた者は道家符により鬼神を呼び出すことも祓うこともできるのだ。

歴史的に見ると、道家符は漢の時代、唐の時代に大流行している。

当時の道家符は多くの場合に病気の治療を目的として用いられた。病気の原因の多くは霊的な世界と無縁ではないからだ。

ただし道家符は単に決められた図と文字を書けば効果を発揮するというような単純なものではない。

道家符を作成する前に精進潔斎し、複雑な儀式を行う必要がある。

だから漢代、唐代の道家符は一般庶民には高嶺の花だった。多くは貴族や富豪のために作られ宝物のように扱われていたようだ。

道家符の図案

道家符には通常は文字が描かれている。

図として描かれるのは天体、神の姿、呪物であることが多い。かなり抽象化されている場合も少なくないので、一見すると何が描かれているかわからないこともある。

文字は漢字または漢字から派生したと思われる特殊文字である。

特殊文字は一般人には読むことはできない。

道家符の使い方

道家符は単に作成するだけではなく、道家符を用いた道術によって効果を発揮することも多い。

例えば病気を治療する場合にも次のような様々な使い方がある。

道家符を携帯する。
道家符を患部に貼りつける。
道家符を食べる。
道家符を燃やして灰を作り服用する(喝符)。
道家符を燃やして灰を作り水に溶いて沐浴する。
道家符を地面に埋める。
道家符を川に投げ入れる。

道家符を燃やして作った灰を水に溶いたものは沐浴に使うだけではなく、体に吹き付けたり、患部に塗ったり、洗髪に使ったり、洗顔に使ったりと、様々な使い方がある。

また服用する場合もお湯で飲む場合と水で飲む場合で効果が違うなど、その扱いに細かい指定がある。

以上は病気治療に用いる場合の用法であるが、一般論として道家符の用法は次の8種類にまとめられている。

化法:道家符を燃やす
佩法:道家符を携帯する
貼法:道家符を身体や物品に貼りつける
吃法:道家符を燃やして灰を作り水に溶いて服用する
煮法:道家符を煎じて飲む(別名は煎法)
擦法:道家符を燃やして灰を作り水に溶いたものを頭部などに塗る。
洗法:道家符を燃やして灰を作り水に溶いたものを地面などに撒く。
噴法:道家符を燃やして灰を作り水に溶いたものを口に含んで吹き付ける。

道家符の種類

道家符の種類は非常に多く分類方法も複数ある。

例えば目的別に分類として、小児用符、和合符、治病用符、妊婦用符、六畜用符などがある。

これは最も大きな分類であり、例えば小児用符の中には小児夜啼符、小儿夜遺尿符、收驚符などがある。

治病用符の中にも腹痛符、目痛符、狗咬符、五霊冶病符、除寒熱符などがある。病気や症状の数だけ治病用符の種類があると言ってよい。

用法別の分類としては、帯身符、化食符、貼用符、放水符、洗符、煎薬符、埋符などの分類がある。

図案別の分類としては、天象符、地象符、人像符などがある。もちろんそれぞれの中にさらに細かな種類がある。

夥しい種類の道家符が存在することは、かつての中国において、生活のあらゆる場面に道術の影響が及んでいたことを物語っている。

道家符に関する禁忌

道家符を入手した場合にはいくつかの禁忌がある。

道家符は他人に見せてはならないとされている。他人に見られると効力が減少し、最悪の場合には効力がなくなるからだ。

さらに動物がいるところで道家符を取り出してはならない。ペットを飼っている場合は要注意だ。

女性は生理期間中に道家符を見てはならない。また健康符、護身符、平安符以外の道家符を妊婦に近づけてはならない。

以上のように道家符には日本の「お守り」とは異なる注意が必要なのである。

中国政府による利用

実は道家符は過去の遺物でも民間に残存する迷信でもない。

中国の政府機関が現在でも密かに利用している霊的オブジェなのだ。

2015年のことである。

黒竜江省の裁判所の壁が打ち壊され、壁に塗りこめられていた道家符の一種である駆邪符が暴露される事件が発生した。

暴露された道家符

壁を破壊したのは2010年に壁の中に駆邪符を隠す工事に携わった職人であった。

彼は裁判で敗訴したことに不満をもち、裁判所の秘密を暴露したのである。

彼の自暴自棄な行為によって、裁判所という公的な機関が石造りの立派な駆邪符を発注し、運搬させ、壁に塗りこめさせた事実が明るみに出た。もちろん公的な予算が使われたことは間違いない。

中国共産党は呪術的な行為を全て「迷信」として否定している。

しかしそれは表向きの話に過ぎない。実際は公的な資金を道術師に投じているのだ。

一方で「迷信」と言いながら、自分自身はその「迷信」を利用している。この2面性がもつ意味は明らかだ。

呪術的優位の独占である。

つまり「迷信」という言葉を使って民間人の霊的なポテンシャルが向上しないように仕向けつつ、政府の幹部はあらゆる手段を使って自らの運気を向上させようとしているのだ。

運は偶然ではなく人為的に操作できる。

中国ではそのことを知っている者たちが運気の格差を密かに拡大させているのである。

Posted by 編集長 妙佛大爺

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