抗日ドラマ
中国では今でも抗日ドラマが作成され放映されている。
これは国策であるから、ネタ切れになっても続けられているのだ。
その結果、時代考証や史実を無視したストーリー展開が常態化している。
日本軍を倒すのはもはや共産党軍とは限らない。
子供の部隊、尼僧軍団、弓の名手、拳法の達人などが登場して日本軍と戦う筋立てすら存在するのだ。
視聴率を狙った誇張した表現が随所に見られる抗日ドラマは抗日神劇または抗日雷劇と呼ばれている。
有り得ないシーン
抗日神劇には実際には有り得ないシーンが登場することも珍しくない。
素手で人間を切り裂くシーンは多くのまとめサイトに引用されている。
もうひとつ有名なのは手榴弾で飛行中の戦闘機を爆破するシーンだ。
どれほど優れた遠投能力を持つ人物でも、飛行中の戦闘機に手榴弾を当てることは不可能だ。
このシーンは抗日神劇の代表的な誇張表現として余りにも有名になってしまった。
また実際には存在しない武器が登場することも少なくない。
単に当時は存在しなかった武器が登場するだけではなく、武器そのものがどのようなものなのか良くわからないケースも少なくないのだ。
もはや歴史を捏造する意図すら放棄し、ビジュアル重視の制作に方向転換したと言わざるを得ない。
日本人の名前
ドラマの中には日本人の名前が登場することが多い。
その中には時代が異なる実在の人物の名前が使われるケースもある。
小泉純一郎や武田信玄、更にはAV女優の名前までが登場するのだ。
ドラマ制作者がふざけ半分で仕事をしていることは明らかだ。
AV女優の名前は小さな字で書かれたものが画面に少しだけ現れたに過ぎない。
しかし画面にわずかに映し出された日本人名をウオッチしている視聴者も存在するのだ。
AV女優の名前に気づいた視聴者が「厳粛な」抗日ドラマを冗談半分で作成するとは何事か!と問題になったこともある。
ドラマ制作者がふざけ半分で仕事をしている証拠は他にもある。
しばしば登場する日本兵のヘン顔だ。
特に目の表現にパターンがある。寄り眼や白目を剥いたシーンがアップで映し出される。これがお笑いでなくて何なのであろうか?
娯楽化は必然
抗日ドラマの筋立ては「日本軍が悪いことをする、それを追い払う」というパターンだ。
このパターンで何年も続けてドラマを作り続ければ飽きられてしまう。
その結果は視聴率に反映されるので、抗日ドラマを専業で作成しているチームは、恋愛要素を取り入れたり、美人女優やイケメン俳優を起用するなどして娯楽化を推進するしかないのだ。
中国政府は抗日ドラマの娯楽化を批判しているが、娯楽化しなければ視聴率は下がり、娯楽化すれば荒唐無稽なものになるというジレンマに陥っている。
実は抗日ドラマ自体がすでに賞味期限切れなのだ。
今の中国に残された選択肢は抗日ドラマの放棄か、抗イギリスドラマなどの新機軸開拓しかない。
中国人自身がまとめサイトを作ってバカにしている抗日ドラマにもはや明日はない。