前世の記憶をもつ村

再生人の村

湖南省の南に坪陽郷という地区がある。坪陽郷の人口は全てを合わせても8500人ほどである。

坪陽郷の南隣は少数民族のるつぼ広西である。坪陽郷も少数民族の自治区の中にあり、独特の建築物や民族衣装が残る地域でもある。

坪陽郷の馬田村には清の時代に建設された鼓楼がある。馬田村の鼓楼は侗族建築の代表格とされている。

侗族鼓楼

近年ではこの鼓楼が観光資源化しており、観光客が訪れるようになっている。

しかし以前の坪陽郷は部外者が立ち入ることは滅多にない地域だった。

しかし1960年代ころから一部の学者が坪陽郷に注目していた。坪陽郷には驚くべき人たちが暮らしていたからだ。

坪陽郷には前世の記憶を持つ人が異常に多いのだ。

1962年から2002年までの40年間で前世の記憶を持つ人は100人以上発見されている。

現地では前世の記憶を持つ人は再生人と呼ばれている。この場合の再生は生まれ変わりを意味する。つまり一度死んだ人の生まれ変わりだから前世の記憶を持つのだと考えられているのだ。

生まれ変わる現象を投胎と呼ぶこともある。投胎とは輪廻転生を意味する仏教用語だ。

人や動物が死亡すると、その魂は別の生き物の胎児のなかに入り、再び生まれてくる。これが再生であり投胎だ。

投胎と記憶

通常私たちは前世の記憶をもたない。なぜなら通常は投胎のプロセスの中で以前の記憶が完全に消されるからだ。

だからふつうの人は自分が生まれる前に自分の魂が別の生命体の中にいたという実感がない。

しかし再生人は違う。彼らは何らかの理由で前世の記憶を保持しているのだ。

再生人の多くは前世でも人間であった。そういう再生人はすでに死亡した別人の記憶を持っている。

もちろん彼らは前世での名前、住所、職業、死亡原因など鮮明におぼえている。それだけなら「思い込み」に過ぎないとも言えよう。

しかしその記憶に基づいてかつての「自宅」で話を聞くと、確かに記憶通りの人が住んでいて、記憶通りの仕事をしていて、記憶通りの死に方をしていることが明らかになるのだ。

だから坪陽郷の人たちにとって再生は当然のことなのだ。彼らは人は死後にどこかで生まれ変わると信じている。

それにしても再生人は具体的にはどのような人たちなのだろうか?

数多くの記録があるのでその一部を紹介しよう。

3歳の児童

坪陽郷で暮らすある一家に3歳の男の子がいた。

この男の子は3歳で言葉を話すようになり、自分は祖父の父親の生まれ変わりだと言い始めた。

このように何代も前の世代の人が投胎したことになるのだから、人の魂は死亡してから生まれ変わるまで長い時間がかかる場合もあるのだ。

ある日、父親はこの男の子を連れて、親戚の家を訪れた。

そこは祖父の妹の家であった。男の子は祖父の妹の夫を見た途端、靴を拾い上げて老人を叩き始めたのである。

後に事情を探ると、祖父の父親は娘の婿と折り合いが悪く、衝突を繰り返していたという。

二度の生まれ変わり

ある女性は3歳のときに前世での名前を口にしたという。そして自分は前世で子供を出産するときに死亡したと告白したのだ。

彼女は前世の住所も難産の場面も非常に鮮明に記憶していた。彼女の前世での住所を訪問すると、確かにその家の嫁は難産で死亡していたのだ。

彼女は母親から難産で死亡すると来世は虫に生まれ変わると聞かされていたという。

そして母親の言うとおり彼女はいったん虫に生まれ変わり人に踏まれて死んだというのだ。そしてさらに生まれ変わり現在の体を得たという。

つまり彼女は2度の投胎によって再び人間の女児に生まれ変わったのだ。彼女は前世のさらに前世の記憶を保持していたことになる。

豚の生まれ変わり

ある男の子は1歳のころから豚肉屋を見ると火がついたように泣き出す癖があった。また3歳ごろには豚のエサを集めている人に対して、それは苦いからだめだとか、それは辛いからだめだと言うようになった。

数年経ってもその子は豚肉屋を恐れていた。言葉をしゃべるようになったので理由を訊ねると驚くべき答えが返ってきた。

彼の前世は豚だったというのだ。

彼の話によると、生まれ変わる前の彼はある公設の養豚場にいたという。そこに村の豚肉屋がやってきて自分を買い取ろうとしたそうだ。危険を察知して逃げようとしたが取り押さえられ豚肉屋に殺されたのだそうだ。

このように人間の前世は必ずしも人間ではないのである。

未解決の謎

前世の記憶をもつ人は日本にも稀に出現する。しかしその出現確率は極めて低い。

ところが坪陽郷には再生人の存在が当然視されるほど前世の記憶を持つ人が多いのだ。

なぜこの地域に前世の記憶をもつ人が集中するのか?

なぜ前世の記憶があるのか?

不思議なことばかりである。

坪陽郷では中国政府による科学的な調査、研究が行われているが、いまのところ前世記憶が生じるメカニズムは解明されていない。

ただしこの現象はそれぞれの人に個別に起きる現象ではなく、この地域全体の集団的な現象であろうと言われている。その現象についての解釈も様々だ。

ある人は周囲の大人たちの暗示による思い込みだと言っている。

別な人は輪廻転生は実際に起きており、通常なら消される前世の記憶が坪陽郷の特殊な環境のせいで投胎の後にも残されていると解釈している。

あまりにも正確な前世の記憶は多くの学者を当惑させている。再生人の謎はいまだに解明されていない。

Posted by 編集長 妙佛大爺

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