共産トップにとっての公安とは
公安と軍を掌握することが共産トップの権力安定の必須条件とされている。
このことから公安と軍の人事を見れば共産党内部の力関係を推測できると考えているチャイナ・ウォッチャーは少なくない。
劉彦平 liú yàn píng
2022年9月1日。中国共産党・中央規律検査委員会は劉彦平(元公安省次官)を除名したと発表し公職を剥奪した。3月12日には重大な規律違反で調査対象になっているとの情報が出ていたので「やはり」という発表である。
理由は汚職。ただし本当の理由はもちろん権力闘争である。
では劉彦平は政治的にはどのような人物なのか?
実は劉彦平は孫力軍、傅政華らと近い人物と見做されている。
傅政華 fù zhèng huá
傅政華は周永康(すでに失脚している)の側近とみられていた。
その傅政華は2013年に公安部副部長に就任し2015年1月以降は法輪功を弾圧するために江沢民が設立した「610弁公室」主任を兼任した。
2018年3月には司法部部長に就任している。旧勢力のメンバーとみられる傅政華が公安・司法部門の重要ポストに就任できた背景には旧勢力と習近平側に国家主席の任期制限撤廃や国務院人事などに関して政治的な取引があったと推測されている。
つまりこの時点では旧勢力と習近平側の力関係はどちらかが相手側を圧倒するという状況ではなかったと解釈することができる。ではその後の変化はどうか?
2021年10月2日、傅政華は重大な規律違反を理由に調査対象になり失脚する。やはり現役の国家主席はOBよりも強いのである。
孫力軍 sūn lì jūn
孫力軍は孟建柱(2012年12月まで公安部長)と深いつながりがある人物と見做されている。ちなみに孟建柱は旧勢力のボスのひとりである。
2007年10月に孟建柱が公安のトップ(公安部長)に就任してから孫力軍は公安内部で昇進を続けた。
2018年3月には当時最年少で公安部の副部長(公安のナンバー2だがこのポストは複数ある)に就任(49歳)。
このように2018年時点でも旧勢力側の人物が公安の要職に就任するケースがあったので、共産党内部での習近平側の支配力は絶大とまでは言えなかったと考えられている。
2020年4月には孫力軍は重大な規律違反で調査対象になり、その後失脚している。このことは習近平側の支配力の増大を示唆している。
Posted by 編集長
シェアボタン
SPONSORED LINK