万光旭
万光旭(ばんこうきょく)は1970年生まれ、江西省永修県の出身である。

永修県には河川が多く、水に恵まれた土地だ。古くから水産物や農作物の産地として知られていた。
この長閑な土地に生まれた万光旭は身体能力に優れていた。
どのような経緯かは知られていないが、万光旭は特殊部隊に入隊し、スナイパーになった。
万光旭は射撃の天才であったようだ。
射撃の名手が揃っている特殊部隊の中でさえ「神スナイパー」との異名で呼ばれていたという。
飛んでいる鳥を打ち落とすことができたというエピソードも伝わっている。
しかし万光旭には問題があった。性格が粗暴だったのだ。
逃亡
万光旭は言い争いがもとで人を殺し高飛びをした。行き先は広東省だった。
しかしおとなしく潜伏していたわけではない。万光旭は逃亡先で警察官を襲い、拳銃を奪ったのである。
そして奪った拳銃を使って強盗を行った。この結果、万光旭は全国に指名手配される重罪人となったのである。
広東省に潜伏していると危険だと考えたのか、万光旭は1997年に故郷の江西省に戻った。
中国の凶悪犯人には意外にも妻がいることが多い。万光旭も例外ではなく、妻がいた。
万光旭は妻の実家に潜伏したのである。
通報
万光旭は女癖が悪かったようだ。明らかになっているだけでも4人の愛人がいたと言われている。
妻に実家に潜伏中も愛人と密会していたようだ。
しかしある日、万光旭は愛人と一緒にいるところを妻の母親に見咎められた。そのとき万光旭は妻の母親に拳銃を向けて脅迫したのである。
この話を聞いた妻の父親は密かに警察に通報した。
万光旭が射撃の名手であることを知っていた地元公安局は、刑事警察に加えて30名以上の武装警察の出動を要請した。
潜伏先への移動は秘密裏に行われたが、万光旭は犬の異常な鳴き声を聞いて部隊の接近を覚ったと言われている。
部隊が迫った時点で万光旭は攻撃の準備を整えていたのだ。
捕縛の部隊と万光旭の間に銃撃戦が始まり、捕縛側の11名が被弾した。そのうち5名が死亡している。地元の刑事警察大隊長も殉職した。
確かに驚くべき射撃の腕前だった。
しかし多勢に無勢で勝ち目はない。結局、万光旭はその場で被弾し、病院に運ばれたが死亡が確認されたのである。