秦城監獄
北京の北に旧ソ連の援助で建設された秦城監獄という監獄がある。中国で唯一公安部が管轄する特殊な監獄である。
秦城監獄は政治犯、特に元高級官僚を収容する監獄として知られている。
中国では高級養老院あるいは三ッ星ホテルなどの異名を持つ特別な監獄だ。
公式には国家機密を知っている囚人を別の囚人から隔離するための施設であるとされているが、実際には刑罰を受ける場合にも共産党幹部には特権があり、他の囚人とは全く違う待遇を受けられる施設であると考えられている。
囚人用の食事は北京飯店の一流の料理人が作ると言われているから、中国の共産党幹部は塀の中でも特権階級であると言わざるを得ない。
塀の中の面々
秦城監獄に収容された面々の中には、歴史に名を残すレベルの大物が少なくない。
例えば毛沢東の4番目の夫人で文革時代に「四人組」のひとりとして政治に介入した江青は一時期秦城監獄に収容されている。
また一時は第二の毛沢東になるとまで言われた薄熙来も秦城監獄に収容されている。
薄熙来の父親である薄一波も秦城監獄に収容されていたことがある。薄一波は後に名誉回復を果たすが、薄熙来の第一線復帰は難しいだろう。
なお薄熙来失脚のきっかけとなったアメリカ領事館への亡命事件を起こした王立軍も秦城監獄に収容されている。
また中国共産党中央政治局常務委員にまで上り詰めた周永康も秦城監獄に収容されている。
囚人の特権
秦城監獄に収容されているのは日本でいえば大臣クラスの超大物揃いだ。
それだけに年始の家族との面会などの「特権」が与えられていたが、昨今では習近平の反腐敗運動によって、余りにも多数の政府高官が摘発され、秦城監獄は衆人で溢れているようだ。
その結果、管理体制に余裕がなくなり、かつてのように監獄内で家族との団欒を許す雰囲気ではなくなっているという。
権力闘争の激化によって、摘発される高官が余りにも増えすぎているのだ。