毒蛇を操る術師たちの謎

先祖伝来の秘術

中国には招蛇術と呼ばれる秘術がある。

これは文字通り蛇を呼び出す術なのだが、ただ単に蛇を呼び出すのがこの術の目的ではない。

中国の一部の地域では毒蛇に咬まれた被害者は術師を訪ねて救済を求めるのだ。救済を求められた術師はまず蛇神に祈りを捧げ、その後に被害者が蛇に噛まれた現場に向かう。

現場に到着すると地面に直径1メートルほどの円を描く。そうしておいて線香に火を灯し呪文を唱える。すると線香が燃え尽きるまでのあいだに被害者を咬んだ毒蛇が現れて円の中に入るのだ。

その蛇を捕らえて口を開け、毒液を少し手に入れる。そしてそのわずかな毒液を混ぜた塗り薬を作り患部に塗ると、被害者は救われるのである。

このように招蛇術の究極的な目的は毒蛇に噛まれた人を救うことなのだ。

術師の中には蛇に解毒作用がある薬草を吐き出させる者もいるそうだ。

地面のうえに円を画いてそこに蛇を呼び込む所までは同じなのだが、その蛇から毒液を採取するのではなく、蛇が自主的に解毒作用のある薬草を術師の足元に吐き出すのだ。そのとき蛇はわずかな血も一緒に吐き出すという。

この薬を患部に塗ると命が助かるというのだ。

招蛇術の真実

話を聞いただけでは信じられないだろう。しかし招蛇術を取材したテレビ局のカメラが上記の一部始終を記録しているのだ。

術師は蛇が現れることに絶対の自信を見せていた。そのときは単なる虚勢にも見えたが、実際に蛇が現れると記者たちは驚愕していた。

なぜ蛇が現れるのか?

術師たちは蛇の魂に働きかける先祖伝来の秘術を用いるのだという。

術師の説明によれば蛇は本来人を噛むことはないという。蛇が人を噛むのは人間が守るべきルールを破ったときなのだ。

人間は自分でも知らないうちに自分たちが守るべき規則から外れてしまうことがある。そのようなときは非を認めて蛇に働きかければ蛇は命を救ってくれる。術師はそのためのコミュニケーションの手段を知っているというのだ。

科学者の見解

この怪現象を解明するためにテレビ局のスタッフが爬虫類の専門家に取材すると、その教授はすでに招蛇術のことを知っていた。中国の専門家の間では招蛇術はかなり有名な話になっているのだ。

その教授は自分自身の目で招蛇術を目撃したこともあると言っていた。招蛇術の噂を聞いて調査した経験があったのだ。

術師がいう通りその教授の目の前にも蛇が現れたという。当時の状況から判断すると何らかのトリックが使われた形跡はなかったそうだ。

その教授にもなぜ蛇が現れたのかわからなかったという。匂いか音を利用しておびき寄せていると推測するしかないが、具体的にどのような方法を用いるのかは全くの謎だというのだ。

科学者の立場からは音や匂いを利用していると考えるしかないのは、その通りだろう。

しかし野生の蛇を音や匂いだけで地面の上に描いた円の中に誘導することなど可能だろうか?

科学者の常識では計り知れない何かがあるような気がしてならない。

湘西の鎖蛇術

呪術のルツボと言うべき湘西には鎖蛇術と呼ばれる術がある。これは蛇の動きを完全に止めてしまう術だ。

湘西には猛毒の毒蛇が生息している。

例えば五歩蛇という毒蛇はあまりにも強力な毒をもつため、この蛇に噛まれると五歩歩いたところで死亡すると言われている。

農作業や山歩きのときにこのような蛇を誤って踏みつけたりすれば命を落としても不思議ではない。

しかし蛇はどこに潜んでいるかわからない。自分の周囲に潜んでいるかもしれない蛇が金縛りにあってしまえば安全なのだ。

それを可能にするのが鎖蛇術なのである。

鎖蛇術にはいくつかの方法がある。ひとつはこれから進もうとする道に入る前に長細い葉の植物を探して葉を結ぶ方法である。

このようにすると進行方向の蛇が金縛りにあったように動かなくなるという。帰りには必ず結び目をほどかなければならないそうだ。

また呪文を唱える方法もある。これは突然目の前に蛇が現れたようなときに有効な鎖蛇術だ。

目撃者の証言によると術師が呪文を唱えると蛇は木の棒のように全く動かなったという。また円形にとぐろを巻いた状態で動かなくなったという目撃証言もある。

呪文を唱えただけで蛇が動かなくなるというのだから、これはもはや科学的に説明できる現象ではない。

魂の存在

招蛇術を操る術師は蛇の魂に働きかけるのが招蛇術だと説明していた。

この説明をそのまま信じるならば蛇には魂があるということになる。考えてみればこのこと自体はおかしな話ではない。

多くの人は人間以外の動物にも魂はあると感じているはずだ。特に人間からの距離が近い犬や猫に魂がないと思う人のほうが少数だろう。

蛇にも魂があっても何ら不思議ではないのだ。問題はその魂と交流することができるかどうかという点だ。

犬や猫とのコミュニケーションですら簡単ではない。長いあいだ一緒に暮らしていても思い通りに気持ちが伝わらないこともある。野生の蛇など到底操ることなどできそうもない。

しかしそれは野生動物たちと隔絶された暮らしをしている現代人特有の感覚なのかもしれない。身近な環境にさまざまな動物が暮らしていれば動物の心を理解し動物の心に働きかけることができるようになるのかもしれない。

そもそも魂とは何か。動物の魂と交流する手段はあるのか。動物とのコミュニケーションを考え出すと次から次へと疑問が湧き出てくる。

この世には人知がいまだに解明していない謎が数多く残されているのだ。

Posted by 編集長 妙佛大爺

シェアボタン

SPONSORED LINK