地下から湧き出す血液

蝦子鎮

中国南部に位置する貴州省に遵義(じゅんぎ)という土地がある。

遵義の歴史は悠久である。遵義には旧石器時代の遺跡があるのだ。昔から人類にとっては住みやすい土地だったのだろう。

一時期は「夜郎自大」で知られる夜郎国の版図となっていた時代もある。現在でも遵義には多数の少数民族が生活している。遵義は文化的な多様性がある非常に興味深い土地なのである。

遵義の東部に蝦子鎮(かしちん)という人口7万人弱の村がある。トウガラシなどを生産するのどかな農村である。

当時の蝦子鎮の様子

2010年7月、この蝦子鎮で奇妙な事件が発生した。

蝦子鎮で暮らす農民の自宅敷地内で地面から赤い液体が噴きだしたのである。

その液体は血の色をしており、何ヶ所かの地点から噴出した。噴出は10分ほど続き、多数の村民が目撃したという。

液体の色があまりにも血液に近かったため、地面から血が噴出したとの噂が広がった。

この噂が広まると騒ぎが大きくなり、ついには遵義県の公安警察が調査に乗り出す事態となった。地面から血が噴出すのは災いの前兆と考えられており、政府は動揺が広がることを恐れたのだという。

ふつうに考えれば地底から血液が噴出するはずはない。しかし噴出した赤い液体を村の犬が争うように舐めていたというから、動物が好んで口にするような液体であったことは間違いない。

不思議なことに公安警察はその液体の調査結果を明らかにしていない。

下昆渓村

浙江省に東陽市という街がある。鶏卵を小児の尿で煮る童子蛋という奇食で有名な土地だ。

この東陽市に下昆渓村という地区がある。

地名に「村」という字があるが国際的な交易で有名な義烏に近い住宅地であり、山深い農村とは様相が異なる。

2005年8月、下昆渓村の民家の敷地内で赤い液体の噴出事件が起きている。血液と区別がつかない赤黒い液体が数秒間にわたって噴き出したのだ。

やはりこのときも噴出したのは血液ではないかとの噂が広がり、東陽市のトップニュースになった。

あまりにも奇怪な現象であるため、人気テレビ番組「走近科学」がこの事件を報道した。この結果、下昆渓村の怪奇現象は中国全土に知られることとなったのだ。

血泉

中国では大きな地震の前に血液に似た液体が地面から噴き出すという伝説がある。このような現象を血泉という。

この伝説には科学的な根拠がある。

大きな地震の前には地殻変動が起こり、そのプロセスの中で赤い鉄の酸化物を含んだ液体が地上に噴き出すことがあると言うのだ。

蝦子鎮の事件の時も下昆渓村の事件の時も、政府が最も恐れたのは大地震である。だからこそ中国政府は地震に関する専門知識を有する科学者に調査を依頼したのだ。

科学者の鑑定によると、どちらのケースもいわゆる「血泉」ではなかった。赤い液体の不気味な噴出現象は地震の前兆ではないと判断されたのだ。

未解決の謎

下昆渓村のケースでは警察は採取したサンプルの分析結果を発表している。その発表によれば赤い液体は人血でもなく動物の血液でもないという結論であった。

では赤い液体の正体は何か?

まず誰かのいたずらであるとの説は否定されている。

液体噴出は多数の地元民に目撃されていた。目撃者の証言を総合すると、液体噴出現場の状況は誰かのいたずらで演出できるような環境ではなかったのだ。

多数の住民の目の前で地面から赤い液体が噴出した。これが誰かのいたずらだとすれば予め地中に液体が噴出する仕掛けを埋めておかなければならない。しかしそのような仕掛けは一切発見されていないのである。

これだけでも誰かのいたずらであるとの説は成立しない。

人為的に引き起こされた現象であることを否定する事情はこれだけではない。そもそも農村部では地面から血液が噴出すことは凶兆とされている。地元民にはこのようないたずらをする動機が全くないのだ。

そこで多くの意見は何らかの自然現象だとする説に落ち着いている。

そうした意見の多くは噴出した液体は自然環境に存在する鉄の酸化物が水に溶けたものだと想像している。

事件が発生したのは雨の後であり、気温が高い季節であったことを総合して、赤い色を呈する鉄の化合物が地面から噴出するメカニズムを説明しようと試みているのだ。

しかしある日突然、しかも一度だけ赤い液体が噴出したことを科学的に説明することは困難である。

そもそも鉄の酸化物を犬が好んで舐めるだろうか?

サンプルを持ち帰った警察が詳細な説明を発表しないことも疑惑を深めている。公安当局が一般に発表できない分析結果を隠している可能性は否定しきれない。

当サイトが独自に入手した情報によれば、赤い液体は鉄の酸化物などではなく動物の血液に近い有機物を含む液体であったようだ。

なぜそのような液体が地面から噴出したのだろうか?

地下に生息する未知の生命体が血液を噴出したとも考えられるが、時空の歪みにより異世界の生命体の体液が我々の世界に噴出したとも考えられる。

ただしその真相を確認する手段はすでに皆無である。

あまりにも不思議なこの事件に関心を抱く人はいまでも少なくない。さらなる警察発表をいまだに期待している人もいる。

しかし事件からかなりの年数が経過した今となっては、新たな事実が発表されることはないだろう。この事件の謎は永遠に明かされることはないのだ。

Posted by 編集長 妙佛大爺

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