現代中国で発見が相次ぐ太歳という霊薬

太歳とは何か

数千年前に記された『山海経』には視肉、聚肉、肉芝という文字が現れる。

どの言葉にも「肉」という文字がつかわれていることから、食用の「何か」であると察しがつく。

実はこれらの文字は現在の中国で太歳(たいさい)と呼ばれるものを指す言葉である。

中国では太歳を食べると寿命が百歳を超えるほど長寿になると信じられてきた。

伝説の聖人である尭(ぎょう)、舜(しゅん)、禹(う)も太歳を食べたと言われている。実際に彼らは百歳以上の長寿であった。

中国の歴代皇帝は不老長寿の効力をもつ太歳を探し求めたと言われている。

始皇帝(B.C.259年からB.C.210年)が徐福に探させたという不老長寿の仙薬も実は太歳だったと推測されているのだ。

医学書の中の太歳

太歳は非常に古い医学書である『神農本草経』に「肉霊芝」という名前で登場する。

その記述によれば、太歳を長く服用すると「軽身不老」の効果があるとされている。これは仙人のような不老長寿が実現するという意味である。

東晋時代の道術師である葛洪(かつこう:283年から343年)は「諸芝」を粉末にしたり水に混ぜて服用するとやはり「軽身不老」の効果があると記している。

太歳が「肉霊芝」と呼ばれていたことからも明らかなように「諸芝」の中には当然太歳が含まれているのだ。

明代の『本草綱目』にも太歳は「肉芝」の名で収載されている。やはり功能は「軽身不老」だ。