張君の犯罪集団
張君の犯罪集団は9年ものあいだ検挙されなかった。最後は公衆の面前で強盗殺人を行い、さらに無関係の市民を銃殺した。
こうなるまで検挙されなかったのは偶然ではない。
その理由はふたつある。ひとつは組織運営であり、もうひとつは綿密な下準備である。
張君は非常に猜疑心が強い男だった。
他人を信用しない。
これが身の安全のための絶対条件であった。
張君の手下は全て親戚あるいは幼少期からの知人である。
張君は自分の手下になった人間に必ず殺人を命じた。手下を殺人犯にすることで、裏切ることも、足を洗うこともできない状況に追い込んだのだ。
さらに手下同士の連絡を禁じ、お互いに近いところに住むことを禁じた。
ひとりが逮捕されても芋蔓式に逮捕されることを避けるためだ。
手下との連絡にはひとりひとり別の携帯電話を使っていた。
また犯行現場で待ち合わせ、それ以前に集団行動をすることを避けていた。
武器は張君だけが管理していた。犯行時に武器を渡し、仕事が終わると回収していたそうだ。
組織内での張君の命令は絶対であり、仕事の上でのミスには罰金を科していた。
この集団内には軍隊並みの規律が存在したと言うのだ。
犯罪の準備
張君は同じ地域で集中して犯行を重ねることはなかった。
大きな事件を起こせば警戒が強まる。そのような地域を避けて、別の省で犯行を行ったのだ。
張君の犯罪は一見すると乱暴な犯罪に見えるが、実は常に綿密な下準備をしていた。
ターゲットを決めると現場の状況、付近の地理、逃走経路、警備の状況などを入念に調査した。
長沙の宝飾店を襲ったときなどは、別の場所に店舗内と同じ環境を作って、1分以内に宝飾品を持ち去る練習を積んでいたのだ。
このようにシミュレーションを重ねてから犯行に及んだため、犯行時間は極めて短く、大胆な犯行を行っても、通報されてから警察が到着するまでのあいだに逃走することができたのである。
もちろん射撃の練習もしていた。さらに車の運転の練習もさせていた。
こうした練習のために、長いときは20日もの合宿を行ったこともあるというのだ。
つまり彼らは勢いだけで犯行を行う集団とは全く性質が異なるプロの犯罪集団だったのだ。
このような軍の部隊のような強盗団が存在したという事実から、中国の治安状況がどの程度のものか、おわかりいただけたのではないだろうか。
Posted by 編集長
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