狗骨鎮の赤鬼虫

消毒用アルコール

当初は村に馴染めなかったLにも同年代の友人ができた。その中に村の有力者の孫がいた。仮にAとしておこう。Aの一族は共産党の協力者として地元政府から一目置かれていたようだ。

ある日、Lのもとに医薬品一式が届けられた。Lは突然衛生管理の任務を与えられたのだ。Aが地元の政府に手を回した結果だった。

その証拠に、医薬品一式が届いたその日の晩にAが訪ねて来たのだ。

Aは消毒用アルコールで酒盛りをしようと持ち掛けた。単調な日常に飽き飽きしていたLには、その誘いを断る理由はなかった。

ふたりはアルコールが入った500mlの瓶を2本持ち出し、人目につかない村はずれの廃屋に移動した。

そこで蝋燭の明かりを灯し、清水で割ったアルコールを飲み始めたのだ。

つまみもなしにアルコールを飲み続けたので、すぐに酔いが回ってきた。先にAが酔っ払い特有の饒舌な状態に陥った。

Aは急に上着を脱いで蝋燭の明かりに近づいた。

Lは驚愕した。Aの腹部の皮膚が真っ黒に変色していたからだ。しかしそれで終わりではなかった。Aはあまりにも不気味な話を語り出したのだ。