中国で発生した「一家皆殺し」の実例

青島滅門案

事件現場:山東省青島城陽仲村社区新東小区
事件発生日:2017年11月14日
被害人数:4名
捜査状況:解決

この事件はビールで有名な青島の新東小区という集合住宅で発生した。

被害者一家は33号楼の7階に住んでいた。

その一家は6階の部屋も所有しており、ひと月まえからその部屋を4人家族に貸していた。

家賃は18000元だというから、日本円で30万円弱である。

これがひと月分だとすればかなりの高額であるが、中国で小区と呼ばれるのは通常は日本の団地に相当する建物である。恐らくこの金額は数か月分の家賃であろう。

部屋を借りた家族は手付金の1000元を支払ったものの、それ以後全く家賃を支払っていなかった。

2017年11月14日の午後9時ころ、家主の妻が家賃の催促に行った。

しかし妻が帰ってこないので、家主は自分の娘に様子を見てくるように言ったようだ。娘は16歳である。

夜の9時過ぎに娘を独り歩きさせることは通常なら考えられないが、集合住宅の下の階であるから問題ないと考えたのだろう。

しかし娘も帰って来なかったので、家主自身が6階に降りていったのだ。

妻も娘もテープで拘束され殺害されていた。そして家主自身も殺害されてしまったのだ。

3名を殺害した犯人たちは7階に上がり、自宅内に残っていた9歳の息子を殺害した。

その後、犯人たち4名は逃亡したのである。

二日後の16日午後6時ころ、逃亡した4名は北京で逮捕された。

翌17日には青島に護送され、4名の立ち合いのもとで現場検証が行われた。

SNSなどで情報が拡散し、現場には100名以上の見物人が集まったそうだ。

まだ一家を皆殺しにした動機は明らかにされていない。部屋に残っていた9歳の息子をわざわざ殺害したのはなぜかが最大の謎である。

この事件にはもうひとつ注目すべき点がある。それは現在の公安の捜査能力である。

事件直後に犯人が逮捕されていることから、公安の能力が決して馬鹿にならない水準に達していることを示しているのだ。

現在の中国には監視カメラが大量に設置されている。

犯行現場からかなり離れた北京で逮捕されたのだから、公安は監視カメラや携帯電話の通話記録などを解析して、かなりの精度で容疑者の所在を特定していたのだろう。