中国で発生した「一家皆殺し」の実例

滅門案

中国の犯罪史を研究していると頻繁に滅門案という文字に出会う。

滅門案とは一家皆殺しを意味する中国語だ。

滅門案は凶悪な殺人事件の典型例であるから一般国民からの関心が高く詳細な情報が残されてることが多い。

この記事では中国で発生した滅門案の数々を紹介することにする。

滅門案の記事は原則的にこのURLにまとめるので、この種の犯罪に関心のある方は、このページをブックマークすれば便利である。

なお非常に有名なマカオの八仙飯店の一家皆殺し事件のように別記事になっているものもあるが、別記事を書く場合にも、このページからリンクを貼ることで読者の利便性を確保する方針である。

北京大興滅門案

事件現場:北京市大興区黄村鎮
事件発生日:2009年11月23日
被害人数:6名
捜査状況:解決 犯人の死刑が執行されている(2011年9月16日)

2009年11月27日午後4時ころ、北京大興区の清澄名苑という住宅地にある民家の中で6名の惨殺死体が発見された。

殺害されたのはその家の主人の妻、子供二人(2歳と6歳)、妻の父母、妻の妹であった。いずれも鋭利な刃物で殺害されていた。

家の主の姿はなかった。別のどこかで殺害された可能性もあったが、捜査の結果、家の主こそが犯人である可能性が高まった。

家の主Lは事件後に自家用車で人身事故を起こして逃亡していたからだ。

Lは海南に高飛びしてしたが、2009年11月28日早朝4時ころ、通報を受けた現地の公安がLの身柄を確保した。

遺体発見の翌日のスピード逮捕であった。

Lの供述によると、Lの一家はもともと住んでいた土地からの立ち退き料として600万元のキャッシュを受け取っていた。日本円でおよそ1億円に相当する金額である。

遺体が発見される4日前の2009年11月23日の夜のことである。この現金の使い道をめぐってLと妻は口論になった。

妻がキャッシュを投資に使いたいと言い出したのに対して、Lが反対したのがきっかけだったという。

口論の末、Lは妻と妻の血縁者を殺害した。そして二人の子供を養う者がいなくなったことに気づき、子供たちも殺害したと言うのだ。

その後、海南に逃亡したのだが、計画的な犯行ではなかったため、全ての足取りが記録されており、スピード逮捕となったのである。

身柄を拘束されたLは、自分の犯行を自供し、早く全てを終わらせたいと言ったそうだ。

事件発生からおよそ2年後にLの死刑が執行された。